ファクタリングとでんさいの違いについて調べてみても、いまいち内容が理解できないという方は多いでしょう。
それぞれの違いが分かりにくいこの2つの言葉について、その基本的な内容や違いについてどこよりも分かりやすく解説していきます。
正しい知識を身につけて、今後の資金繰りの参考にしてください。
「でんさい」とは?
そもそも「でんさい」が何を意味するのかをご存知でしょうか。あまり聞きなれない言葉だと思いますので、知らない方は多いでしょう。
- でんさい…電子記録債権(でんしきろくさいけん)の略
- 全国銀行協会が提供している「でんさいネット」の中で流通する債権を意味する
簡単に言うと、でんさいというのは『電子的に記録された債権』のことであり、利用するには“でんさいネット”というシステムを導入する必要があります。(売掛先、支払先の双方がでんさいネットに加入している必要があります)
銀行間の決済システムを応用して作られたのが「でんさいネット」です。
でんさいネットでは、登録している企業同士がネット上で売掛や支払の記録・管理をすることができます。
でんさいネットを導入することで、紙媒体での手続きを省略することができるため、これまでのような手形を発行する必要がなくなります。
そのため、添付していた印紙代も削減できますし、手形の発行事務作業など企業の負担を大幅に減らすことに繋がるのです。
そして、このでんさいネット内での債権のことを電子記録債権、略して“でんさい”と呼びます。
でんさいは、ネット内で流動的に利用することができるのが特徴です。
例えば、自社にA社からの200万円のでんさいがあり、別案件でB社に100万円の支払義務が生じた場合、A社からのでんさいをB社への支払に充てることができます。
これを『でんさいの譲渡』と言います。
「でんさいとファクタリングの違い」というワードをよく耳にしますが、正しくは「でんさいの譲渡とファクタリング取引の違い」といったところでしょう。
でんさい自体は、でんさいネット上での電子債権のことであり、でんさいを流動的に使うことは「でんさいの譲渡」と言います。
ただ、一般的には、「でんさい」と呼んで「でんさいの譲渡」を意味することも多くなっていますので、誤解が無いように注意した方が良いでしょう。
「ファクタリング」とは?
次に、ファクタリングがどういったものかを確認しましょう。
- ファクタリング…売掛債権を買取る金融サービス
- 売掛債権を買取ることで早期現金化へと繋げる、資金調達の新しい方法
簡単に言うと、売掛債権を売ってお金にすることをファクタリングといいます。
本来であれば、売掛金は入金日まで待たなければ現金を手にすることはできません。
しかし、ファクタリングでは債権をファクタリング会社に売却することで、入金日を待たずに資金を手にすることができます。
融資やローンとは異なり、これから手に入る予定のお金を前倒しで手に入れるようなものなので借金扱いにはなりません。
でんさい譲渡とは異なり、双方がでんさいネット導入しているなどの制約はなく、売掛債権があれば誰でも利用することができるのが、このファクタリングです。
でんさいとファクタリングは同じもの?
それぞれの概要を見て、でんさいとファクタリングが非常に似ているということが分かったでしょう。
似ているものの、2つの仕組みは全く異なります。それぞれの共通点や相違点から、でんさいとファクタリングの違いを明確に理解していきましょう。
でんさいとファクタリングの共通点
最初にでんさいとファクタリングの共通点(よく似た点)から確認していきます。
債権を流動的に活用することができる
売掛金も、でんさいも債権のままでは、購入や支払に充てることはできません。でんさい譲渡やファクタリングを利用することで、債権を流動的に活用することができるでしょう。
資金繰りに困ったなど、融資を受けるのには抵抗がある・赤字決済で融資の審査に受からないという場合などに、債権を流動的に活用することは非常に有効的です。
手数料が発生する
ファクタリングではファクタリング手数料というものが、でんさいネットでは発生記録請求や譲渡記録請求・決済手数料といった手数料が発生します。そのため、どちらも債権の額面全額がそのまま利用できるというものではありません。
ファクタリングの場合は、「売掛債権の金額-ファクタリング手数料」が調達できる金額となります。でんさいネットを利用する場合は、「でんさいの金額-各種手数料」が流動的に活用できる資金です。
なお、この手数料は借入の時の利息・利子などにも該当しますので、そう考えれば解りやすいと思います。
でんさいとファクタリングの2つの相違点
次に、でんさいとファクタリングの相違点となります。
保証の有無(取引先からの入金リスク)
一般的に、ファクタリングには保証がありますが、でんさい譲渡には保証がありません。
自社…A社
債権発行会社…B社
別支払先…C社
B社は、A社に200万円の債権を発行している。(B社はA社に200万円支払い予定)
A社は、C社に100万円支払わなければならない。
A社がファクタリングを使って、入金予定の200万円の債権を売却したとします。
ファクタリング契約完了、A社はファクタリング会社から資金を得ることができ、C社への支払を行うことができます。
ところが、B社は200万円を支払う前に倒産したとします。この場合、負債を負うのはファクタリング会社です。
ファクタリングの場合、譲渡後の売掛金の回収リスクはファクタリング会社が負うのです。
一方、でんさい譲渡の場合、でんさいネットを使ってB社から入金予定の200万円のでんさいを使ってC社への支払を完了させます。その後、B社が200万円を払う前に倒産。
この場合、代わりに元の債権者であるA社が支払いを行う義務が生じます。
ファクタリングの方が手数料は割高になりますが、この保証の有無も大きく関係していると考えられます。
債権譲渡に関する通知の有無
でんさい譲渡の場合、でんさいを使って支払をする旨・自分の払う予定のでんさいが他社の支払に充てられていることなど、関係する取引先に通知されてしまいます。
一方でファクタリングでは、契約内容によってファクタリングをしていることを取引先企業に通知せずに行うことも可能です(2社間ファクタリングなど)。
債権を流動的に利用することで、「資金繰りに困っている会社」というイメージがついてしまうことを懸念する方にとっては、熟考するべきポイントでしょう。
どちらを利用すべきかは状況次第
売掛債権のままでは、支払日を迎えるまで流動性がないままになってしまいます。
でんさい譲渡やファクタリングを利用することで、債権を上手に動かしながら資金繰りに充当すれば、事業を展開していきやすくなるでしょう。
でんさいとファクタリングのどちらを利用した方が良いのかという点については、利用する会社を取り巻く環境や経営状態によって異なります。
でんさい譲渡が適している場合
でんさい譲渡のデメリットである、“でんさいを利用している会社同士でないとやりとりできない”という点をカバーできる環境にあるか否かが重要なポイントとなります。
売掛債権を流動化させるためだけにでんさいを導入するのは非常に手間と時間がかかります。でんさいの取り扱いに慣れるまで、経理のミスが増えるなどのデメリットがあります。
自社を含めて、取引先など自分の周囲の会社がでんさいシステムをすでに導入しているのであれば、問題ありません。ファクタリングと比較しても手数料面で安く済みますし審査などもないので手軽に利用することができるでしょう。
ファクタリングが適している場合
1度や2度だけの資金調達という場合は、でんさいを1から導入するよりも、ファクタリングにて資金調達をする方が時間も手間もかかりません。
また、でんさい譲渡を使って支払を行うことはファクタリングに例えると3社間ファクタリングのようなものであり、取引先にでんさい譲渡をすることが通知されてしまいます。通知されたくないという場合は、ファクタリングを選択し2社間取引で契約するようにしましょう。
おすすめのファクタリング会社
2020年現在、おすすめのファクタリング会社です。これからファクタリング会社を探す方には是非参考にしてください。
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まとめ
でんさいとファクタリングは、債権を流動性資金として使うという点においては類似しているようにみえる両者ですが、その仕組みには大きな違いがあります。
単に売掛債権を売却するファクタリングとは異なり、でんさいでは双方でシステムを導入している必要があることや譲渡する側も保証人として財務諸表上デメリットを負わなければなりません。しかし保証がない分、ファクタリングよりも手数料金額が安価で済むなどのメリットもあります。
最近では“でんさい活用型ファクタリング”というでんさいとファクタリング両方の機能を活用したものも登場していますので、そちらもチェックしてみましょう。